2004江南市民花火大会
2004年10月2日(土) 曇 19:30〜20:20
愛知県江南市草井町 すいとぴあ江南地先木曽川河川敷


 日脚も日毎に短くなり、秋の深まりを感じるこの頃、花火を追いかけているうちに季節はすっかり秋に移ろってしまった。今シーズンも7月から精力的に観覧を重ね、各地で幾多の感動のシーンを体験させてもらったが、今夜の花火大会が今シーズンのトリを務める花火に、もしかしたら今年最後の花火となりそうだ。
 日本中の花火ファンの目が土浦の競技大会に注がれるなか、私は東海地区の小さな花火大会に出掛けてみる。舞台は愛知県江南市、木曽川を中国の長江(揚子江)に見立て、その南側に位置することから「江南市」と名付けられた尾張地区北部に位置するこの街は、今年で市制50周年を迎える。これを受けて従来8月のお盆時期に開催していた市民花火大会を、今年は秋に開催の市民まつりと同日に開催する運びとなった。実は昨年の花火も10月に開催されたのだが、これは8月に予定していた花火大会が荒天によって延期されたもので、やむを得ず10月の市民まつりと同日開催になったもの。従って来年以降、江南市民花火大会が10月に開催される保証はどこにもない。この時期に江南の花火を観覧する機会を得ることは、もう二度と巡ってこないかもしれないのだ。とにかく貴重な秋の花火、初観戦でもあってどのような感動・驚きが待っているかと心を弾ませて、江南へ行ってみた。


後方のタワーが
すいとぴあ江南です

 日本列島に大きな傷跡を残した台風の影響と当日の天気が崩れたことで、江南の花火大会は果たして大丈夫なのだろうかと心配しながら現地に出向いた。河川敷での花火大会、長良川に象徴されるように、例え雨が降ってなくても増水による中止はよくあること。愛岐大橋を南へ渡る途中に目にした木曽川は、川幅いっぱいに水かさを増して轟々と音を立て勢い良く流れていた。会場方面を遠望するも河川敷の中州のような場所はまるで見当たらない。
 そんな心配を余所にすいとぴあ江南の敷地内に設けられたメイン会場では、市民まつりで大いに盛り上がっていた。野外ステージ、展示即売会等に大勢の人々が繰り出しているなかを突き進み、一目散に花火会場へと向かう。そして木曽川の土手を上り詰めて打上会場を目にすると「おぉーなるほど。これなら大丈夫だ」とようやく安堵するのだった。河川内といっても芝生の敷かれた立派な運動公園の様な場所が打上会場となっており、これを斜め半分に仕切ってその奧を打上場所とするもので、水が流れる河原とはまるで縁のない場所で花火を上げるのだから増水が影響を及ぼす心配はなさそうだ。木曽川を舞台にした花火なのに最大7号とは小振りだなと思っていたのだが、この打ち上げ配置では7号が限界になるのも当然といった感じがする。それにしても風向きが・・・・、昼過ぎでは無風に近くて風向きが読めず、殆ど運任せで土手上の一画に場所を確保して夜を待つ。

会場内の様子(土手から撮影)
中央より奧が打上場所

 雨がぱらつきヒヤヒヤするなか、時間も押して花火大会の開幕が迫ってくる。19時半開幕と18時過ぎには暗くなるこの時期にしては遅すぎる花火大会、ステージイベントなど市民まつりのプログラムが詰まっていて仕方ないのだが、それにしても遅すぎる。
 昼間は閑散としていた花火会場内も、暗くなると共に徐々に観衆が繰り出してきて賑やかになってくる。後方のステージではジャズコンサートが賑やかに催されているのだが、人々は喧騒の世界を離れなごみを求めるかのように、不思議とこの暗くて何もない虫の音色に包まれる静かな広場へとやってくる。思い思いの場所に敷物を敷いて、ビールを飲んだり賑やかに談笑の輪が広がり、子供達の歓声があちこちで溢れる。やがて始まる素敵な一時を迎える前の高揚感に満ちた時間、花火見物を前に誰もがワクワクしながら待つお馴染みの光景がいつしか拡がった、何度も何度も目にした微笑ましい光景だ。盛り沢山のイベントを揃えたおまつりであっても花火大会はやはり特別な存在、人々を惹きつけてやまない絶対的な魅力がある。じっとしていれば寒いくらいの気温、なのに大勢のお客さんが繰り出して熱気を帯びてくるのが嬉しかった。

19時前の会場内、画面左奧が岐阜市街方面

 暗くなりきらない空。「岐阜の空ってこんなにも明るいんだ」低く垂れ込む雲に打上の背景となる岐阜市のネオンが映し出され、空がやたらと明るくて写真を撮るには不向きであった。風向きも西北寄りの風が緩やかに吹くといった会場全体が風下状態で、打上のやや裏側に回り込もうかと、下流の土手上に場所を移そうか思い悩んだが、音響設備のない地点から花火を観るのは、エンターティメント性に富んだ江南の花火大会の真価を観損なうリスクがあって嫌だった。結局、大勢の観衆と共にメイン会場に留まって花火大会を迎えることにした。

 江南の花火大会は4部で構成され、
 1部 オープニング(仕掛花火&スターマイン)
 2部 江南花めぐり(BGMに乗せて春から秋を演出)
 3部 伝統の花火(6号、7号の単発集)
 4部 音楽花火(3曲構成で音と光の競演)
打上時間45分といった構成になっている。会場内に設けられた音響設備がひときわ目に付く花火大会の呼び物は、4部で登場の今年の流行の曲に乗せて打ち上げるという音楽花火。ノリの良さそうなアナウンサー嬢のプログラム進行に導かれ、場内のボルテージが増してくるなか江南市長の開会挨拶が始まった。

第2部 江南花めぐり

 中日ドラゴンズの優勝、イチロー選手の大リーグ記録達成とこの地域にとって良いことずくめの週末に市制50周年を祝う花火大会を盛大に開幕できる喜びを力強く語ってくれた。今年は市制50周年ということで仕掛け花火を盛り込んだという開幕仕掛け花火に点火される。描き出された文字は「祝・江南市制50周年」とお約束通りの文字を描き出し、早速、賑やかなBGMをガンガンに流して花火大会が始まった。

 ドドドーン花火だ!あぅぅ〜あかん、煙まみれや。(**)

 仕掛から場内に向かってもうもうと押し寄せる煙。ゆるやかな風に乗って会場内を覆い尽くした。続いて始まった裏打ちのスターマイン。連発箱物を5ヶ所から一斉に打ち上げるといった派手な出し物で、あちこちからふんだんに特殊効果花火を打ちまくり、フィニッシュに3号クラスの花火を一斉掃射する演出だったが、残念ながら煙に巻かれてまともに鑑賞できない。
 続く2部も序盤は煙が残ってよく見えなかったが、打ち出しが減ると同時に花火もしっかりと鑑賞できるようになった。「江南花めぐり」と題する2部では、「桜」「藤」「紫陽花」「菊」の順に江南に咲く花を花火で演出していった。こういったパートではクラシックの落ち着いた曲が似合いそうなものだが、流されるBGMは「美女と野獣」「世界に一つだけの花」。市民から募集した音楽を組み合わせた演出なのでこれも仕方ないのかな。それにしても花火大会で「美女と野獣」を耳にしながら花火を鑑賞するのは初めて、花火に曲が合っているかは別にして、皆うっとりした表情を浮かべて楽しそうに観覧する様子、花火と音楽の相乗効果のようなものを早くも実感した。

 3部は「伝統の花火」。この時ばかりは賑やかに鳴り響いていたBGMも止んで、花火芸術を集中して観覧できる環境を演出してくれた。玉名号数を読み上げた後に1発ずつ丁寧に披露する。6号5発を一組にして始まった伝統花火は、中盤に入ると7号2発と大きさを増した。全部で11組の伝統花火は、割物、千輪菊、型物、遊泳星、万華鏡、錦冠とほぼ全て種類の花火を披露するもので、フィニッシュは7号八重芯錦冠菊を2発続けて放ってくれた。

第3部 伝統の花火
6号 蝶々 6号 十字柳 7号 霞草芯万華鏡 7号 芯入彩色千輪菊 7号 八重芯錦冠菊
第4部 音楽花火 
冬のソナタ版癒し系ナイアガラ仕掛
中央に真っ赤なハート、両脇に雪だるまが添えられています

 さて終幕は江南名物の「音楽花火」。今年の流行の曲に乗せて花火を打ち上げるというもので、17分たっぷりの3曲構成の演出となっている。ドラマ、プライドの主題歌「I was born to love you」で賑やかに入り、癒しの「冬のソナタ」を中盤に交え、エンディングは日本中を熱狂と興奮の坩堝と化したアテネ五輪「栄光の架け橋」とこの夏を象徴するなるほど納得の選曲となっている。
 アナウンスとの相乗効果も抜群で、大きな盛り上がりをみせる中で始まった音楽花火、メロディ花火のように音楽と花火が完全に一致して演じるものではないが、トラ・小型連発花火に打上花火を上手く絡めた音楽花火。2曲目と3曲目のパートが特に印象的だった。
 今や社会現象とまで言われる「冬のソナタ」、このパートでは癒しを花火で表現するとあって、降雪ものなどを多投したゆったりとした打上。途中入った張り物仕掛、山形に張られたナイアガラには両脇に雪だるまの仕掛を配置、これが先に点火して驚きの歓声を誘い、続いてナイアガラの頂上に仕掛けられた真っ赤なオープンハートが輝くというもの。普通のナイアガラとは一味違っていて、これら一連の流れを眺めているだけでも本当に楽しかった。

終幕の錦冠一斉掃射
煙まみれです(::)

 終幕はアテネ五輪の感動をもう一度「栄光の架け橋」で奏でられる。この夏を象徴する曲に乗って始まった最終のパートは、やはり終幕ということで打ち出しを増した。その結果、場内は完全に煙に包まれてしまう。あちこちで小型花火が噴き上がり、中には地割花火?のような演出も交えながら畳みかけるような打上を続け、フィニッシュは錦冠菊をワイドに打ち上げて終了。まるで煙幕の中で花火を観ているかのような感じだった。

 花火大会が終了すると、来年の花火大会開催に向けた募金を募る呼びかけを行った。花火玉の募金箱を抱えて、声を枯らして募金を呼びかけるスタッフたち。来年の開催に向けた地道な活動が既に始まっているのだ。幾多の感動をいただいた花火大会はこういった地道な活動によるものと心から感謝しなくてはならない。そのことを身をもって体験したシーンだった。
 会場の入り口で入場者一人一人に花火大会のプログラムを手渡す一幕、場内の安全誘導や警備などを実行委員会、商工会、青年会の皆様が受け持って、精力的に取り組んでいる姿を至るところで目にした。平成7年に青年会議所の皆様の発案で始まったというまだ若い花火大会は、もうすっかり地域に根差した江南市に欠かすことのできない風物詩として市民に親しまれ定着している。この夏の花火巡りの最後、10月に入ってこのような花火大会に出逢う機会をいただいたことに感謝するばかり。

 それにしても会場全体が風下とは・・・・。もう一度訪れる機会があったら、次回こそは良いコンディションの下で、エンターティメント性に富んだ江南市民花火大会の真価を味わってみたい。


日記一覧にもどる
トップページにもどる