伊東温泉 とっておき冬花火大会
2004年12月22日(水) 晴 20:40〜21:10
静岡県伊東市 伊東オレンジビーチ
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| 湯の街ならではの温かいお持て成し 温泉たまごが振る舞われます |
今年最後の花火、というか来春までもう花火を観ることはないだろう。その舞台が静岡県の最東部、伊豆半島の湯の街伊東市と、私には殆どご縁のない地での花火となった。実は東京に出掛ける機会に上手く便乗した格好の伊東花火観覧。そうでもしなければ、年の瀬のこの時期に、平日開催の花火を追ってはるばる伊東まで出掛けることは不可能である。
この時期、各地で冬花火が開催されるが、なかでも伊東温泉のとっておき冬花火大会は一度は行ってみたかった。再び訪れることはないかもしれない伊東の冬花火。貴重な出逢いに胸が弾む。
伊東市オレンジビーチ沿いのなぎさ公園に設けられたメイン会場は、今が冬とは思えない程の熱気に包まれていた。軒を連ねる屋台、行き交う人々、そしてよさこいの威勢の良い掛け声、音楽と踊りの軽快なリズムに包まれる賑やかな雰囲気は、まるで夏祭りそのものといった感じだ。
早速、屋台を巡って適当に美味しそうな物を買い込んでお腹を満たし、よさこいを観覧させてもらう。もうもうと湯気を立ち上げる巨大な木桶には、湯の町ならではの温泉たまごがたっぷりと入っていて、訪れる人々に無料で振る舞われていた。これを有り難く頂戴する。あの何とも言えない食感、独特の甘みがじわ〜っと体中に拡がる。
なぎさ公園の演舞場では「冬のよさこいソーズラ祭」が既に始まっていた。20もの出場チームによるみんなの力を結集した踊りの大競演。観る者を圧倒する個性的で激しい踊りの数々に思わず魅入ってしまう。「冬のよさこいソーズラ祭」は18時から20時30分まで熱い踊りの競演が行われるもので、これが終わると冬花火大会が始まる。
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| 本番開幕を告げる 10号八重芯 手前にはなぎさ公園の小型花火がかかっています |
会場の雰囲気もよさこいも一通り楽しませてもらったので、いよいよ冬花火に備える。花火はなぎさ公園を中心にして、その両脇から海に伸びる防波堤の先端、計3ヶ所から打ち上げられるというものだが、実際に打上場所はかなりの広範囲に及び、写真を撮るという意味では撮影場所の選定に苦慮する。取り敢えずロケハンをしないと、歩いて配置をざっと調べてみる。観光協会前から海に伸びる防波堤の先では15号までの打上、メイン会場の先端では庭園花火などの小型花火が、その北側のオレンジビーチから海に伸びる防波堤からは4号クラスまでの花火といった打上配置で、これら全てを写し込む位置取りは相当厳しいものがある。両堤防から内向けに放たれる斜め打ちもありそうなので余り離れては絵にならない、などとあれこれ思案して、結局無難まとめようと、なぎさ公園から熱海よりに少し下った、画面右奧に15号を入れる、会場全体を左斜から臨む構図で挑むことにした。
砂浜のビーチを見下ろす通路上の一画に三脚を構えて開幕を待つ。温かい缶コーヒーを手にして開幕を待つのだが、真冬とは思えない暖かさ。海に向かって緩やかに吹く風、打ち寄せる穏やかな波、20時半開幕と待たされるのだが、寒さも特に気にならず、メイン会場のよさこいが終了する時をじっと待った。
よさこいの進行が遅れいたたためか、定刻を10分以上過ぎてからようやく開幕した。
開幕から暫くは、なぎさ公園の先端から放たれる小型花火が景気良く上がっているだけで、これをただぼけーっと見つめているだけであった。
ところで、花火が始まってもなぎさ公園では踊りを続けているようでわんさかといつまでも賑やかだ。また、場内の照明を落とす様子でもなく煌々と照らし出したままで、花火を観るにも写真を撮るにもなぎさ公園では不向きであると実感した。
さて、5分程経過した頃であろうか、いよいよ待ちに待った真打ちの登場となる。「ボンッ」、小型花火の放つ小気味よい爆音に混じって、奧の防波堤から放たれる大玉の微かに伝わる射出音。来たぞとばかりにシャッターを切る。咲いた、決まった。この大きさ、ずしりと腹に響く大音響はまさに10号玉、しかものっけから端正な八重芯が登場するのだ。これを合図に“本物の打上花火”が2ヶ所の防波堤から夜空を彩るのだった。
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| 漂う連星と、海上打ち出しスターマイン 情緒に満ちた眺めです |
一目で虜になってしまいそうな出来映えの八重芯に敬服すると同時に問題が浮かび上がる。実際に花火が始まると、離れた二つの防波堤から打ち上がる花火を同時に写し込むことは不可能であった。それでなくても焦点距離1.6倍の広角撮影にかなり苦しいデジKissを用いての花火撮影。それならばと、さっさと割り切って奧の大玉打ちの防波堤に狙いを絞る。一発目の八重芯は本当に素晴らしく、手前の小玉は捨てて、いつ何時登場するか判らない逸品を撮り逃さないようにすることが賢明と判断するしかなかった。
花火は手前の防波堤から放たれる頻繁に打ち上がる4号の合間を縫って、奧から10号玉などの大きな花火が突然舞い上がる。それにミニスターマインを絡めながら進行するというもの。大玉はどれも立派な割物揃い。芯菊を主体に、八重芯、三重芯と多重芯物が繰り返し登場する大変に見応えのあるものだった。引先が霞草で終わる花火が何回も登場したのが印象的で、消えたと思ってシャッターを切り上げた後に、霞草がふわっと浮かび上がる。その変化のタイミングが掴みきれなくて撮影に失敗をしたこともあった。
中盤を過ぎた頃に出逢った印象的なシーン。手前の防波堤から放たれていたスターマインのフィニッシュに、夫婦揃って思わず絶叫する。「あっ“毛虫”!」久々に観る連星、これを私たちは親しみを込めて“毛虫”と呼んでいた。冬の夜空にじっと浮かび続ける無数のとりどりに輝く星達。普段は風に流されるがままに何処かへと行き去ってしまう連星が、今夜はいつまでもその場に漂っている。こんなシーンは初めてのことだ。そう言えば今夜は不思議なもので、地上では陸から海に向かって緩やかに吹いていた風が、上空では逆に海から陸に向かって流れている。開幕して直ぐに気付いた風向きだったが、連星が登場した時点では無風であったか、丁度開花した位置が風のない位置だったのか、こうしてじっと連星を眺めることができる稀な機会を得ることとなった。しかも次のプログラム、海上打ち出しスターマインに移ってしまった間も、連星はその場にじっと浮かび続けるシーンが素晴らしく印象的な眺めで、これを有り難く大切にカメラに収めさせてもらった。
感動的な10号玉、素晴らしい玉ばかりです
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| 10号 芯入変化菊 (リング入) |
10号 雌雄芯 | 10号 八重芯 |
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| 10号 芯入 | 10号 三重芯 | 10号 八重芯錦冠(霞草) |
間断なく夜空を彩り続けた花火が止み、なぎさ公園ではこれから始まるとっておきの花火を告げるアナウンスが流され、カウントダウンのコールが聞こえてくる。いよいよとっておき冬花火の終幕を飾る大玉4連発の開始だ。
1発目の10号玉、咲いた花火はなんと四重芯!だったのかな?芯部が今一つはっきりと見分けることができなくって・・・・むうぅぅー。続く10号は、八重芯錦冠菊。こちらは引先が霞草といった今夜よく見かけたタイプの花火。
そして伊東名物の15号玉2発の登場。2発とも大玉に相応しい錦冠菊であったが、中身はまるで違うものだった。1発目は彩色の浮模様入りの錦冠菊、綺麗に咲いた錦の盆の中に浮かび上がる珍しい色の小割がとても新鮮で心に残る。そしてラストの15号は、こういうのが大玉だと言わんばかりの力強さ。大きな盆、いつまでの余韻を残してくれる海面にまで垂れ下がる引きの強い錦の滴。その圧倒的な存在感にこれまた絶叫もの!拍手喝采だ。
これで終わったのかなと思いきや、しっかりとありました本当のフィニッシュが。二つの防波堤から息を合わせて放たれる銀のスターマイン。これはもしかして、という思いを抱いて撮っていると、期待を裏切らない射出音が轟く。真上と海上(それぞれ内向きに)に向けて一斉にシュボボボッーと放たれる。うぉーまさに空中ナイアガラだ!(とどめの絶叫)遠く離れた二つの防波堤から別々に放たれていた花火が最後の最後に一つになる。広大な空間を埋め尽くす白銀のシャワー。一瞬の出来事であったが、心満たされるとっておきのシーンであった。やっぱり締めは冬花火らしく視界いっぱいに拡がる白銀の世界を演出してくれたのだ。
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| 15号 錦冠菊浮模様 (綺麗に決まってます) |
15号 芯入錦冠菊 (圧倒的な引きの強さ) |
空中ナイアガラ (実は左半分です) |
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| 10号 四重芯 |
あぁ〜素晴らしい、滅多に出逢うことのない場面の数々といったらもう・・・・本当に有り難い。短時間ながら充実した内容の、見応えたっぷりの花火であったとしみじみと実感できるものだった。
本当は伊東の温泉街にこのまま逗留して、素晴らしい花火を見せて頂いたお礼をしなければいけないところだが、それができなくて心から申し訳なく思う。遠路はるばる伊東まで訪れたのに、花火が終わると同時に伊東の街を後にする、後ろ髪を引かれる思いで次の目的地、大東京へと向かった。
もし私に行動の自由があったなら、このまま伊東に留まって、明日は熱海、明後日は名古屋港とこの時期ならではの3連戦を組むことが理想であるが、それは叶わないというのもの。でも楽しみはまだ先に残しておこう。何よりも、最も離れた地点の実現不可能と思っていた伊東の冬花火を経験できて大満足なのだから。
クリスマス休暇の反動で、1月は正月から休みなしで仕事に追われる毎日、HPの更新も不可能な日々が続いた。そしてようやく伊東の観覧記を公開しようという時になって、今更ながらあの四重芯が脳裏をよぎる。果たしてあれは四重だったのか・・・・。私の鑑賞眼に疑問符をつきつけた多重芯。結局、自分では確信が持てず、伊東を観覧なさった方に教えを請うて、やはり四重芯であったと確認させてもらった。この一年間、頑張ってど真剣に花火を観させてもらったつもりでいたが、自分の鑑賞眼の無さを痛感させられる思いがした。
全てに於いて勉強不足、05年もどうぞよろしくお願いします。 とっと