第52回 伊勢神宮奉納全国花火大会
2004年7月17日(土)  曇 19:30〜21:40
三重県伊勢市中島 宮川渡会橋上流


伊勢駅前にて

 昨年の悪夢を払拭したい、活気に満ちた伊勢と再会したい。96年以来、ほぼ毎年観覧を重ねてきたが、昨年はすべてにおいて最悪だった。コンディションが悪いのは仕方ない、従ってお客さんが少なかったことも納得できる。ところが終幕を華麗に締めていたナイアガラ&裏打ちのワイドスターマインまで無くなって、ただの単独スターマインに変わったのには心底落胆した。大会を締める目玉のプログラムが競技スターマイン並(それ以下)に落ちぶれてしまうなんて・・・・。そんな折、今年の伊勢にワイドメロディスターマインが登場するという話をキャッチする。競技スターマインにも一定のルールが施された(打ち上げ筒数は300発以下。打ち上げ時間は3分以下と伺っています)。これは大いに楽しませてくれそうだと期待に胸を弾ませる。とにかく、あの寂しくて哀れで無惨としか言いようのない昨年の惨めな姿をなんとしてでも払拭したかった。
 今年の伊勢は違う!新しい趣向を取り入れ、大会の姿が大きく変わろうとしている。99年、競技花火が10号玉へとサイズアップされて以来となる飛躍の時を今迎えようとしているのだ。さあ、行ってみよう「技の花火・伊勢」、神都が熱く燃えている。


 伊勢の花火前夜(16日)、深夜までの勤務を終えてファミリーマートに立ち寄る。ぴあのチケットブースで花火大会桟敷席のチケット販売を確認する。あった伊勢だ。たぶん売れ残っているんだろうな〜とは思っていた。コンビニを通して全国で販売される伊勢の桟敷席。個人自由席券は一人1,000円と(当日販売の場合、1,200円になります)、とってもリーズナブル。新しく移転した先の桟敷から、一度は花火を観ておきたいという思いもあって、躊躇せずに妻の分と併せて2枚を購入した。これで私も晴れて協賛者になったわけだ。新しいプログラムを取り入れ、例年以上の盛り上がりをみせる伊勢に期待を込めて、久々に桟敷席から花火を見守ることにした。
 翌日、花火会場となる宮川に着いたのは、正午前だった。今回は桟敷席から花火を観るのでそんなに早く会場入りしなくてもよかったのだが、場所取りの様子などを確認しておきたくてこの時間帯に訪れてみた。度会橋の麓に拡がる芝生上には、炎天下にも関わらず、ブルーのシートを敷きこむ人々の姿が目立ち、なんだか嬉しくなってくる。その先に拡がる17時から開門の桟敷席エリアはまだ準備中だったので、そちらは下見もしないで会場を後にした。
 伊勢の花火に訪れる際は、必ず観光を兼ねて訪れることにしている。鳥羽に赴き新鮮な海の幸に舌鼓を打ち、その帰りに二見浦を訪ね夫婦岩に手を合わせ、伊勢神宮(内宮)に参拝する、これが何回も花火を観覧する内に出来上がった定番のコースだ。せっかく信仰の地に訪れたのだから花火だけを観て帰る訳にはいかない。今年は内宮への参拝を終えると16時を過ぎてしまって、外宮に参拝する時間が残っていなかった。今年も両宮をめぐることが出来ない伊勢参りになってしまった。

 時間がないので花火会場付近に妻を降ろして、先に桟敷のゲートに並んでもらう。桟敷席は17時から開放となっており、車をいつもの場所に止めてから遠く離れた桟敷に戻ることにした。
 宮川沿いに車を止め、どこまでも続く宮川堤の桜並木回廊を歩いて、花火会場へと向かう。強い日射しを遮る桜並木は有り難い。対岸の左岸に拡がる河川敷の臨時駐車場に多くの車が入っていくのを眺めながら進んだ。河川敷の臨時駐車場は今年から有料となっていおり、小学校の校庭に設けられた臨時駐車場など花火大会用に設けられた臨時駐車場はすべて有料化された。昔は大半の臨時駐車場が無料で開放されていたのに、これも時代の流れかな。しかし、風向きが悪い、右岸に建つ横浜ゴム工場の高くそびえる煙突から流れる煙が風向きの悪さを如実に示していた。

 度会橋の手前では、大会関係者並びに赤い服を身に纏ったボランティアの方々が沢山参集され、ゴミの分別回収などの準備に余念がない。全国1級河川水質調査に基づく水質ランキングで、2年連続の1位に輝いた清流宮川で開催される花火大会、美しい河川を守ろうという気概が伝わってくる。 
 度会橋を越えた先に拡がるどこまでも軒を連ねる夜店群、大勢のお客さんが繰り出してとても賑やかだ。元桟敷席だった芝生上の観覧席も大方埋まっており昨年とは大違い。久々に活気に満ちた伊勢の会場風情を楽しみながら、その先に設けられた桟敷に辿り着いた。

個人自由席エリア(18:30撮影)

 河川内のグランドを囲って有料エリアにしたような伊勢の個人自由席、場所取りの方法は一人一畳分を目安にエリア内で適当に場所を確保して観覧することになる。私は17時を15分程過ぎてから桟敷に入ったのだが、時間前に会場に入った妻の話によると、自由席は既に開門されており、特に混雑もなくすんなりと入場できたとのことだった。実際、私が訪れた時点でも前の方が埋まっているくらいで、随分とゆったりとしたものだった。しかしどうも居心地が悪い、せっかくお金を払って桟敷に居るのにもう一つしっくりとこない。その原因は個人自由席Eエリアの前に拡がるツアー客用C、Dエリアの存在が気に入らなかった。(一応協賛者なので言わせてもらいます!)
 大会本部席の直ぐ裏手に拡がるC、Dエリアは川面を見下ろす最高の位置を占めているじゃないか。なんで我々、個人の花火愛好家が見晴らしの悪い後ろ側で(しかも大きな通路を挟んでいるのでエリアの最前列をゲットしたところで、前を人がちょろちょろと通るので意味がない)来るか来ないか分かりもしない団体客用に最前列が提供されているのに、どうしても納得が行かない。19時頃になってもこれらのエリアはがらがらで、そのうちの所々に何組かの人々がポツポツと座っているくらいだ。それもどう見ても団体客とは思えないような客ばかり。チケット等のチェックを本当にしているのか分からなく、野放しで座らせているような感じを受けた。実際に暗くなり始めて座り込んだ方を沢山見かけるにますます納得が行かない。ツアー客のふりをして座り込んだところで見分けがつかないだろう。そんなツアー客用に川面を見下ろす前列一帯が惜しみなく提供され、大勢の客が後ろで鑑賞するって変じゃないか。せめて早くから並んだ人にはそれなりの席が確保できるような配置にして欲しい。昔の桟敷席はたとえ後ろ側でも芝生の上に居るという優越感があったのだが、新しく移った桟敷は、どうも居心地が悪い。

 開幕を待つ間に、徐々に風向きが変わってきた。もろに風下状態だった風も徐々に向きを変え、いつしかそれなりの風向きに変わっていった。伊勢の風は、毎年のことながら本当に読めない。時折、風が凪ぎいてハラハラするのだが、とにかく今回は気まぐれな風神様に助けられた格好で、風下からの観覧だけは避けられそうだ。

審査標準玉
10号 八重芯変化菊
  アルプス煙火

 桟敷での待ち時間、今回はカメラの説明書など見向きもせずに、プログラムを食い入るように見つめ続けた。昨年のプログラムを持ち込んでは、今年はここが違うだのあの業者さんが入ってないなどとあれこれ比較したり、注目の作品にペンを走らせてチェックする。嫁さんに「だから“花火マニア”(*某雑誌より)って言われるんだよ」って言われても「だってホントに楽しみなんだもん」と切り返す、まるで子供だ。
 さて、プログラムに目をやると、その充実ぶりに胸が弾む。滅多にお目にかかれないような作品がそこかしこに入っており、本当に楽しみだ。私には縁のない遠く離れた東国でしか観ることができないと思っていた玉名を見つけると、思わず期待にワクワクしてしまう。今年のプログラムには、10号に四重芯が出品されていないのたが、その変わりに八重芯、三重芯を中心とした花火ファン必見の作品が名を連ねており、目が離せない構成になっている。中でも5号割物に三重芯の文字を見つけると思わず我が目を疑ってしまった。私的には、分かり易くてはっきりと見分けがつく八重芯が昔から大好き、決まったときの美しさは言葉にならない。それに私のような素人には、瞬間芸術である四重芯を見分けることが出来ない。その意味でも今年の伊勢は、自分なりの鑑賞方で競技花火を満喫できそうな予感がする。

 19時半、待ちわびた伊勢の競技花火がいよいよ幕を開ける。伊勢市長の挨拶もそこそこに、例年通りのカラフルな開幕枠仕掛が披露された。それから競技開始まで10分少々待たされ、19時45分になって競技花火が始まる、事実上の開幕だ。
 競技花火の部で前年度優勝のアルプス煙火さんの標準花火が打ち上げられる。これを受けてEOS君の角度を調節して、撮影態勢に入った。

10号 昇曲導付八重芯銀乱
 長野県 篠原煙火店

 50組で競われる競技花火は初っ端から菊屋小幡花火店さんの10号「花火万華鏡」が披露され、早速エンジン全開で拝見させてもらった。多重芯も結構だが、実力煙火店さんのこういった銘花はファンにとってことのほか嬉しい。10号では三重芯も数多く出品されており、玉名通りに綺麗に咲くものと、そうでない作品との違いがよく出ていたと思う。その点、安定感のある八重芯、個人的に最も気に入った作品は、ラストに披露された篠原煙火店さんの「八重芯銀冠」。うぉぉぉーと呻りたくなるような大きな盆、力強い肩の張り、カメラに収まりきらない堂々とした大輪の八重芯。アングルを固定して機械的に撮り続けていたので違いが一目瞭然だった。他にもいろいろと思うところがあった競技花火だが、上手く表現できない、とにかく勉強になった。5号は思っていたよりも打上のピッチが早く、次に上がる10号に全神経を集中させていたことから、とても感想を脳裏に焼き付けることが出来ない。次回への反省である。写真を撮るにしても5号が消えきらないうちに10号が放たれるので、こちらには随分と戸惑った。毎年と変わらない打上方なのだが、1発毎に写真を撮るようになって打上のピッチに問題があると気が付くのも変な話なのだが。
 競技スターマインも今年からルールが変更になった影響なのか、全体的にハイレベルな大変に見応えのあるものだった。昨年までは素人目にも分かる、明らかな物量の違いが是正され、全体的に平均化された影響が大きい。また競技花火5組終了毎にスターマインを1基交える打上へと順番を変えたことにも好感を持てる。個人的にはマルゴーさんの作品がお気に入り。
 
 競技花火をすべて終えると、今年からの試みで始まった注目のワイドメロディスターマインが大会の終幕を華麗に締めてくれる。ナイアガラと音楽付き5か所ワイドスタマの競演に興味津々である。
 会場内いっぱいに曲が流される「ぴ〜ひょろ〜」おや?どこかで聞いたことのある笛の音が流れてきたぞ。太鼓の音に勇ましい掛け声が入った曲は、それまでのメロディに使われる曲と趣向を大きく異にしていた。
 音の強弱、リズムに合わせて打ち上がる花火をメロディスターマインとして鑑賞してきたので、今回目にしたメロディスターマインは異色の出来だった。どちらかと言えば、神都伊勢に相応しい落ち着いた和楽に、花火を上手くマッチさせていた感じがする。笛の音に乗って舞い上がる花火、ドンと響く音はまるで大太鼓にバチを打つ音のように聞こえてくる。
 序盤にナイアガラが点火され、思いのほか早くナイアガラが登場したことにも驚いた。
 ナイアガラの滝が流れている間は4号クラスをソロで放って、滝と花火と音楽の珍しい競演をじっくりと演じてくれた。ナイアガラの滝が消えると今度は賑やかにワイド展開して打ち込み、フィニッシュへと導いてくれる。終幕は錦冠菊怒濤の連打。カラフルな落ち葉まで入ったそれは、とても美しく豪華だった。これでセンターに7号10号クラスを何発か交えてくれれば、数年前、調布で観覧した終幕の錦冠ワイド打ちそのものだったろうに。
 5分ほどで終わったワイドメロディスターマイン。5か所ワイドと謳っていたが、実質的には3か所ワイドだったと思う。もう少し打上花火(特に5号以上)を交えてくれればもっともっと豪華になったろうに・・・・なんて贅沢な注文を付けたくなる(打上場所の都合上無理なのかな)。でもお客さんの反応は抜群、大きな拍手で称えられていた。

 とかく地味なイメージが付きまとう伊勢の競技花火だが、ようやく大会提供と言える華やかな出し物を手にしてくれたことが何よりも嬉しい。良い評判が立って、多くの人々が気づいて足を運んで欲しい、そして自分の目で感じ取って欲しい、伊勢の魅力、花火芸術の素晴らしさ奥の深さを。来年以降、隙間が目立つ桟敷席が全部埋まるほどの活況を呈してくれることを願うばかり。

注:ワイドメロディに使われた曲はおかげ横町で講演される、神恩太鼓のメンバーの皆さんが、この大会のためにレコーディングして下さったものをメロディ花火に使用するといった粋な計らいがなされたもので、これを知ってやはりどこかで聴いたことがある曲だと妻と納得し合った。出来ることなら事前にアナウンスによって、曲の仕様を予め説明したうえでメロディを披露して欲しいと思う。その方が多くの人々の心に伝わることでしょう。

★04年初登場!ワイドメロディスターマイン ♪
ナイアガラの滝と花火の競演 ボリューム満点のフィニッシュ
和太鼓の名調子に乗って華麗に舞う花火。ナイアガラ大瀑布が華を添える約5分間の光と音のファンタジー。新しい趣向を取り入れた伊勢の花火。来年以降の楽しみが増えました。頑張れお伊勢さん!(^_^)

 ところで、久々に桟敷から伊勢の花火を鑑賞したのだが、花火打上中、騒いだり前をうろちょろ立ち歩いたりする観衆も殆ど居なくて、みんな真剣に花火鑑賞をしている感じで、実に快適に観覧&撮影に臨むことができた。作品毎に声援を送り、素晴らしい出来映えのものには大きな拍手で称えるといった理想的な環境だった。当然、私も妻もそのような雰囲気にどっぷりと浸りながら夜空を彩る芸術花火を存分に鑑賞し、写真を撮り続けることができるもので、てっきり、このままフィニッシュまで無事に辿り着けるものと思っていた。しかし、注目のワイドメロディスターマインが始まると、序盤に地上でピカピカと光る仕掛につられて、観衆が一斉に立ちだしてそのまま鑑賞するのには参った(もちろん座って撮影していたもので泣!)。真っ平らなグランドの観覧席なので、観衆が立ってしまったらどうにもならない。私の前に居る人には「立ったらあかん。後ろが見えへんぞ〜」と何度も注意喚起してなんとか座ってもらったのだが、結局、落ち着いて写真を撮ることが出来なかった。観覧するには良い位置関係を誇る個人自由席であるが、撮影になるとちょっとって感じかな。来年はこの点についても検討し直して、最適な観覧場所の確保に努めたい。

 96年に初めて出逢った伊勢のあの鮮烈な感動が忘れられない。花火芸術の素晴らしさを教えてくれた伊勢。以来、毎年絶対に観覧すると誓って観覧を積み重ねてきた。2年連続通算7回目の観覧となった第52回伊勢神宮奉納全国花火大会、いろいろな意味で記念になる大会だった。来年も楽しみである。


第52回 伊勢神宮奉納全国花火大会写真集

競技花火10号玉
1 花火万華鏡
群馬県 菊屋小幡煙火店
9 三重芯変化点滅菊
宮城県 芳賀火工
10 三重芯変化菊
長野県 アルプス煙火工業
11 覆輪芯菊
長野県 関島煙火製造所
12 芯入錦先白銀の舞
秋田県 北日本花火興業
13 三重芯変化菊
茨城県 筑北火工
14 芯入千輪の花
群馬県 高崎火工湯浅花火店
15 三重芯変化菊
秋田県 小松煙火工業
18 三重芯錦冠菊点滅群声
茨城県 森煙火
20 三重芯変化菊残輪
静岡県 臼井煙火
25 三重芯変化菊
愛知県 加藤煙火
28 八重芯変化菊
新潟県 新潟煙火工業
31 三重芯変化菊
秋田県 大曲花火化学工業
33 三重咲霞草
長野県 太陽堂田村煙火店
35 万華鏡芯変化先蜂
岡山県 森上煙火工業所
36 三重芯黄金点滅
茨城県 野村花火工業
41 八重芯変化菊
栃木県 関口煙火工場
43 八重芯変化菊
秋田県 和火屋
44 八重芯錦冠菊
千葉県 三宅花火店
48 八重芯菊先点滅
長野県 信州煙火工業
スターマインの部
2 スターマイン
華・光・音
長野県 小口煙火
6 スターマイン
宮川の夏「水の園」
三重県 伊藤煙火工業
7 スターマイン
夏の華
東京都 丸玉屋小勝煙火店
8 スターマイン
ファイヤーカーニバル
山梨県 マルゴー
9 スターマイン
紅−くれない−
高崎火工湯浅花火店
近場で開催される唯一の競技花火大会として親しんできた伊勢の花火。自分のHPを持った以上、いつかはこのように多数の写真を掲載して伊勢の魅力をお伝えしたいと願っていました。伊勢に初めて訪れた時、まだ20代前半の私は、ただ目の前で咲き競うスターマインばかりに心を奪われ、その醍醐味だけを求めて観覧を繰り返したもので、その奧で静かに競われる競技花火を場繋ぎの玉程度にしか見なしていなく、花火芸術の真価に気づくのが遅れたことが悔やまれます。こうしてHPを立ち上げ、写真を掲載してみますと、競技花火、中でも10号玉は本当に貴重な存在であると今更ながらしみじみと思い知らされます。
伊勢では多くのことを学ばせていただきました。全国の花火師が集う競技花火大会が近くにあることに心から感謝します。下手な写真ですが、今回は多めに掲載してみました。少しでも伊勢の魅力に触れていただくことができましたら幸いです。

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