尾西市・羽島市市民花火大会
2004年8月14日(土) 晴れ 19:00〜21:00
愛知県尾西市〜岐阜県羽島市 濃尾大橋北 木曽川河畔(花火打上は羽島側から)


 今年は市制50周年とか○○記念大会などといった特別な大会に良くあたる。今回もそのパターンで、主催自治体(尾西市・羽島市)が揃って市制施行50周年を迎えたことを記念してスペシャルバージョンにパワーアップ。この大会の目玉である20号玉、例年5発しか上がらないのに、今年に限ってなんとなんと10発に倍増される粋な計らいがなされるのだ。私自身、20号といった大玉にあまり縁のない身、一晩に10発は初体験である。広大な木曽川を舞台に舞い上がる20号玉はどのようなものだろう?そんな思いを抱いて、尾西市・羽島市花火大会を初めて訪ねてみた。


羽島市の会場風景
手前黄色ロープより先は立入禁止区域
画面左奧からナイアガラ、中央20号、
右寄りスターマイン・単発とセットされている
尾西市の会場風景
河川敷は狭い、右の堤防道路が絶好の
観覧席と化す。まきわら船やや奧の中州
では枠仕掛と小型花火が披露されます

 愛知・岐阜県境を悠然と流れる大河、木曽川に架かる濃尾大橋直近の花火会場に着いたのは14時前であった。お盆ということで渋滞が気になっていたのだが、結果的に思いのほか順調に車を飛ばすことができた。むしろ天気の方が心配。関ヶ原付近で強い雨に見舞われ、どうなることかと気になっていたのだが現地は快晴、夏の太陽がぎらぎらと照りつけていた。
 西から花火会場に向かう私が最初に目にする地点は、木曽川の西岸に位置する羽島の会場となる。木曽川を見下ろす土手に降り立って、運動場などがいくつもスッポリと収まっている広大な河川内を見渡すと、観覧席を経たその先に打上の筒やナイアガラの仕掛などが河川敷の一番奥の川縁、木曽川の水面に沿って一列にセットされている姿が確認できた。
 「えー!これって殆ど真上じゃないか。めちゃくちゃ近くないの?」思わずそう叫んでしまいそうな位置関係。10号はもちろん、20号の筒が設置されているその真後ろから観覧できるのだ。羽島側の会場が広いことは知っていたが、現場を目にして「うそっー!マジですかー」の心境に陥った。HP上の掲示板にて地元の愛好家の方より羽島の状況を教えてもらっていたので、ある程度は羽島側のイメージを掴んでいたのだが、まさかこれほどの至近距離で観覧できるとまでは思っていなかった。もう少し上流側に打上がセットされていてこれをやや横から見るような位置関係になるのかなとイメージしていたのだが、現実には打上を真っ正面に臨む、超かぶりつきなのだ。(ちなみにこの時点では、場所取りは殆どなされていません。河川内の雑草も綺麗に刈り取られ、会場の広大さと相まって観覧スペースは豊富。時間ギリギリに訪れても大丈夫と行った印象を受けました)
 こりぁ駄目だと素人の私でも咄嗟に判断できる位置関係、ここで写真を撮ることは無謀としかいいようがない。やや風下気味ではあるが、やはり対岸の尾西市側から花火を観ることにした。
 1キロほどはあろう長大な濃尾大橋を渡りきって愛知県尾西市に至る。こちらでは木曽川の水が護岸に沿うようにして流れており、羽島とはまるで正反対の河川敷となるスペースが殆どない。堤防道路から河川敷に降りて10メートル程進むとそこはもう木曽川の水の中。当然、観覧事情は厳しく、狭い観覧スペースにはブルーのシートがびっしりと敷かれており、残っている場所は河川内に生い茂る雑木の裏といった視界の悪い場所ばかりだった。仕方なく河川敷内を諦めて、堤防道路上に狙いを絞る。こちらは河川敷内で観るよりも3〜4メートルは高くて見晴らしが良い。初観戦なのでセオリー通りに大会進行を伝えるアナウンスがしっかりと聞こえそうな所で、河川内の雑木に邪魔されずとあれこれ欲張りって確保したのは川面を挟んで打上を真っ正面に臨む地点となった。
 会場から一番近い小学校の臨時駐車場に車を止め、車中でオリンピック観戦して時間潰し。その後、地元のスーパーで夕食を買って17時半頃に会場へ戻った。堤防道路上もこの時間帯になると最前列を中心に場所取り完了状態、しかしながら思っていたほどの観衆の入り具合ではなく、頑張ればまだまだ好位置を確保できるような状態だった。それでも隣にいる地元のご家族のお話では、今年は随分と出足が速まったとの事、昔はこの時間帯からでも余裕で最前列を確保できたそうだ。

夕暮れ時の木曽川の水面を進むまきわら船
尾西側では何とも言えない風雅な情緒が漂っている

 川面を渡る涼風を正面に受けながらのんびりと花火の開始を待つ。紅白の提灯を纏ったまきわら船が5艘繰り出し、やがて1艘ずつ優雅にゆっくりと上流に進んでいった。尾西側では、何とも言えない風雅な情緒が漂っている。

 尾西市夏祭りの一環として毎年14日に開催される花火大会は、明治25年に始まったとされる大変に伝統のある大会。13日は前夜祭として勇壮な手筒花火、市民盆踊りなどが催され14日が花火大会となる。羽島市での花火大会の起源は分からないが、93年から尾西市との共同開催となっている。

 今夜のプログラムは3号、4号、5号、6号、8号、10号の単発にスターマイン、仕掛け花火、目玉の20号にナイアガラを絡めるもので、基本的には早打ちとスターマイン2〜3基を披露した後に入る20号玉を打ち上げて一区切りとした繰り返しのやや単調なプログラム構成になっている。20号玉は19時半の開始後、15分おきに区切りよく披露されるもので、フィニッシュは20号の3連発という豪快な仕立てだ。初観戦ということで、両会場をロケハンしたついでにきっちりと両市発行のプログラムを頂いたのだが、羽島市のプログラムには20号の玉名が記載されており、これが全て異なる玉である事から興味津々である。
 
 美濃の国羽島太鼓の軽快な名調子が川面を越えて伝わってくる中、やがて日が沈み、開幕を迎えた。羽島では羽島太鼓の披露の後、点火式を経て花火大会開幕とそれなりにセレモニーがあるようだが、尾西側ではそういったものはなかった。放送設備もあるのだが、オープニングを告げるアナウンスすら入ることなく、突然の花火打ち上げを受け慌てて撮影態勢に入った。19時半、90分間の音と光のクロスパフォーマンス開始、主役の20号は撮り逃さないように頑張ろう。

 開幕はナイアガラ付近に仕掛けられたトラのワイドV字打ち、この後小型仕掛花火を3か所程から打ち上げてあっさりと終了。広大な舞台にまるで似合わないおとなしい始まりだった。それにナイアガラ付近から花火が上がるとは思ってもいなかったのでこちらも少し驚いた。羽島側の点火式台の設置場所がナイアガラ付近にあったので、点火された火花が真っ直ぐに流れる仕掛でもあってナイアガラ付近から花火が上がったのかな。
 この後、プログラムの大半を占める単発打ちに入るのだが、いきなり10号玉がするすると空高く昇ってドカーンと豪快に咲き誇る。これを合図に3〜6号の小型花火に10号や8号といった大玉を絡めながら、プログラムが進行する。
 始まってみると10号、8号が間断なく夜空を彩った。尾西側では打上地点から木曽川を挟んでかなり離れてしまうのだが、これだけ大玉が頻繁に登場すると見応えがある。プログラムは一見すると号数と発数だけが記載された単調な内容に思えるのだが、花火大会を通じて10号51発、8号110発と大玉がふんだんに盛り込まれているのがここの真骨頂。豪快にズドーンと咲き誇る大輪の花をたっぷりと鑑賞できるのがなんといっても醍醐味である。大玉は割物(芯入)主体、千輪菊も多数登場といった本格派(花火ファンとしては多重芯物が何発か欲しいところ・・・・(八重が1回では寂しい))。その反面、スターマインはまるで絵にならない。3号まで(4号入りもあったかな)の小型花火主体、しかもその殆どがソロ打ちとくる。大玉入りなどの豪快なスターマインは1基もなかった。中には点火器の調子が悪いのかなと思うくらいの間の悪いタイミングのスターマインもあって、最後まで印象に残らない、ここの主役は間違いなく単発だ。
 花火開幕後、間もなくして上流から赤い提灯を灯したまきわら船が1艘ずつゆっくりと流れてくる。バックに咲き誇る花火と川面を漂う赤いまきわら船とのコントラストが素晴らしい、うっとりとするような優雅な眺めだ。バシャバシャと写真を撮りまくった。

まきわら船と千輪菊 水面に映えるスターマイン まきわら船と彩色千輪菊 紅芯錦冠菊

 開始15分を経て、初めて場内にアナウンスが入る。「間もなく20号玉が打ち上がります」場内が大きくどよめいた。いよいよ真打ちの登場だ。
 木曽川の川縁に1列に並んで鎮座する20号の筒列は壮観だった。肉眼でもその威容が十二分に確認できるものだった。単発&スターマインの打上場所からやや上流側にセットされている打上配置を読んで、これくらいの角度かな、とカメラの向きを調節して待ち構えた。
 ズドーン!重低音を残して太い曲導を引きながら天高く昇っていく20号玉。あぁぁー高い、どこまで昇るんだろう。禁じ手だが露光途中にも関わらずカメラの角度をやや上向きに修正した。
 “ドカーン”咲いた、決まった。どこまでも上り詰め、どうだ!これが2尺玉だと言わんばかりに豪快に咲き誇った。巨大な盆で拡がった大輪の錦の滴が、ゆっくりと木曽川に降り注ぐ。その引きの強さ、キラキラと淡く輝く金色の光が水面に吸い込まれていくような圧巻の錦冠菊、もちろん拍手喝采、大歓声でその雄姿を讃えられた。しかしながら、めいいっぱい広角で撮っても、川面に降り注ぐ20号錦冠菊を全て写し込むことはできなかった。相変わらず撮影場所のセンスがないというか読みが甘い。
 20号の先陣を飾ったのは「紫芯錦冠」。全部で10発の20号が登場するのだが、その半分は大玉に相応しい錦冠菊というもの。芯の色が違ったり、小割入りとそれぞれ微妙に違う錦冠菊だ。中でも「星印入錦冠菊」が後半に登場するのだが、芯が星形になっているのかなと密かに注目。結局、芯部が横向きに見えたので残念ながら形がよく確認できなかった。
 20号の残りは千輪菊1発に4発は芯入りの変化菊といったところ。個人的に楽しみにしていたのはやはり1発だけの千輪菊である。「木曽川に咲く彩色千輪菊」との玉名で打ち上がったそれは、ややこぢんまりとまとまった小花の散り具合の密度の濃い千輪菊だった。
 15分おきに入る20号玉を目玉にプログラムが進行する。最後のパートで披露されるナイアガラの滝、こちらも記念大会ということで例年の2倍、400メートルに渡るもの。木曽川に映えるナイアガラ、できれば裏打ちもと欲張って露光したのだが、瞬く間に膨大な煙が弱含みの風に乗って停滞するようにしてその場を遮り、まるで写真にならなかった。ナイアガラが完全に消えた後に裏打ちがドドーンといったので、もう少し早いタイミングで打って欲しい。
 ラストは名物の20号3連打。「青紅芯菊先変化菊」「オレンジ芯漣光紫緑」「銀芯銀波紅銀乱」と芯入り3連発だった。これを観てさすがに20号ともなると均整に丸く咲かすのは難しいものだと実感した。
 締めは豪快に、最後の最後まで大玉に引っ張られた格好の見応えたっぷりの花火大会、10発の20号は全て無事に打ち上がって、それぞれ絶大な存在感を誇示するものだった。

圧巻の20号玉
木曽川に映える星入り錦冠菊 星印入錦冠菊 木曽川に咲く彩色千輪菊 オレンジ芯漣光紫緑

 羽島のメイン会場で今夜の花火を観たていたらどんな感じになったのかな。殆ど頭上で咲き続ける花火に全身が包み込まれてしまうような素敵な夜になっただろう。あのまま羽島の会場で花火を観覧していたら、きっとカメラなんか放り出して、ただ成り行きに身を委ねていたに違いない。

 後片付けを終え、駐車場に向かう。その先にはツインアーチ138(138=いちのみや)が煌々と輝いていた。この魅力的な花火大会は、来年以降いったいどうなるのだろうか。木曽川を隔てて隣り合う二つの街は、平成の大合併を受けて別々の道を歩もうとしている。尾西市は2005年4月に隣接する一宮市との合併を選んだのだ。もしかしたら尾西市の名を冠して開催する最後の花火大会になったかもしれない。実は主催者の大会挨拶とかで、今後の花火大会について何らかのメッセージが入るかもと大きな感心を持っていたのだが、そんな挨拶はなかった。もちろん一宮にも同じ木曽川を舞台に15号と芸協玉まで入った花火大会がある。しかしながら、まきわら船の堤灯が美しく揺らめく日本情緒に満ちた大河の夜空を大輪が豪快に彩り続ける今夜の花火大会の方がずっとインパクトがあった。この伝統有る素晴らしい花火大会が、今の姿のまま存続することを願うばかりである。


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