日記2008春


篠田の花火
2008年5月4日(日) 晴 20:45〜22:10(花火奉納)
滋賀県近江八幡市上田町 篠田神社


和火大仕掛、よく見るといろいろな仕掛が施されています
点火の瞬間、大仕掛は炎に包まれます
乱玉、回り火が絵柄が浮かぶまでを繋ぎます
乱玉、回り火が収まった直後
まだ炎が残る大仕掛ですが、徐々に絵柄が浮かんできます。

 風下に立たされた和火大仕掛。松明の火の粉が、流れ落ちてくる花火が、いつ何時和火に着火しないかとハラハラドキドキの連続であった。厳しい展開だったが、伝統の炎が織りなす幽玄の世界を今年もまた堪能させていただいた。その余韻には格別の充実感があることを知っている。素晴らしい花火芸術をありがとう。



 例年、サイド風になる確率が高い篠田だが、今年はメイン会場の篠田神社一帯が完全に風下となる難条件、しかも風はけっこう強い。普通の花火大会なら風上に回れば問題ないものの、和火大仕掛のある篠田ではそうはいかない。奉納花火は風下になることを受けて、プログラムの順番が若干変更され、ラストに登場するはずの和火大仕掛をやや前倒しにして無事に乗り切ることになった。

 あぁ、凄い、四重芯が普通に名を連ねている。和火に花を添える打上花火は、今年もますます研きがかかった魅惑のラインナップであることにまずは感嘆した。これだけの作品を一同に揃えられることは、本当に凄いことだと思う。このプログラムを見るだけで、関係者様のご努力、心意気が存分に感じられるものだ。この素晴らしい作品群を、風下かつ神社の杜にひっかかる場所から観覧するのは残念でならないが、世界唯一の和火大仕掛は絶対に見逃せない。風下でも境内で観覧せざるを得ないのだ。

 篠田の花火は長丁場である。暗くなりきってから始まる神事を経て、ラストの和火の点火に至るまで、毎年22時頃まで及ぶのだ。今年も20時半頃になってようやく太鼓の宮入が始まり、続いて大松明の宮入となる。大松明は例年2基宮入りされるところが、今年は最初から1基、境内に建てられていたので、その分、進行が早まりそうに思ったが、そうはいかない。
 時折上げられる呼び込みの雷などの打上花火が大きく流され、こちらにぐんぐん迫ってくる。そんななか、20時45分、打上花火開始。
 例年では、大松明を境内に立て、三国と手筒を終えてからの登場となるが、今年はいきなり玉名のアナウンスが入ったので、慌てて撮影態勢に入った。

 殆ど真上で開花する花火。それが風に大きく流されてこちらに迫ってくる光景には言葉を失う。引き足の長い冠菊なんかは、頭上はおろかそのさらに後方にまで星が豪快に流れてきて、呆気にとられた。境内にまでまだ火の着いた錦冠の星が落ちてくるほどの、どう表現すればいいのかいのか判らない圧倒感。なにしろ、もともと打上場所と観覧場所が近い篠田で、風下となるのだから、まさに花火の直下にいるといった感じになるのだ。写真は機械的にレリーズするけれど、冠系はもはやどうにもならない。満天の花火に包まれ、半ば陶然となって見入ったが、火の着いた冠の星がこちらに流れてくる時ばかりは、和火に着火しないかとハラハラした。
 打上花火の進行は、新幹線の通過待ちやらを挟むので頻繁に中断した。境内に担ぎ込まれた大松明が立てられる間も中断。終盤のいよいよ10号登場という段になって、三国一と手筒花火が披露されたので、その間はもちろん打上中断だ。例年、通しで上げていたので、今年は今ひとつノリの掴みにくい展開であったが、それも仕方ない。
 さて、お待ちかねの10号は、7発のうち四重芯が3発も入った堂々のラインナップだった。
 伊那火工様の四重芯は、2玉とも良い作品でとても感嘆した。アルプス煙火様の八重芯は引先緑点滅と大好きな作品、点滅星がこちらに流れ満天の煌めきに包まれる幸せ感は言葉にならない。打上の大トリは、野村様の四重芯だった。
 37番でプログラムされた打上花火は今年も見応え満点。これだけの作品に出逢える機会は滅多にない。一般のお客さんにとっても、普通に観られる花火とはレベルが違うことにきっと気付かれていることだろう。

 打上が終わるといよいよ真打ちの登場である。既に境内の灯りを落とし、隣接する夜店群の灯りまで落とす徹底ぶり。クライマックスを迎える舞台は整った。
 満場の注目を集めたロケット花火が和火大仕掛に向かってまっしぐらに進む。巨大な大仕掛が一瞬にして炎に包まれ、乱玉、回火が激しく燃えさかる。耳をつんざく爆音、場内に漂う火薬の匂い、場内の盛り上がりは最高潮に達した。
 やがて炎が収まると、妖しくおぼろげに揺らめく青白い炎が暗闇に浮かび上がってくる。何とも言えない伝統の輝きが連なって独特の絵柄を描いていく様は、何度観ても深く心に刻まれるひとときだ。
 今年の絵柄は、源氏物語が記録の上で一千年を迎えることにちなみ、「源氏物語千年紀::紫式部の像」がテーマになっている。大仕掛には月にみたてた人工の灯りが添えられ、中秋の名月の晩に源氏物語の構想を練ったとされる紫式部の様子が、縦10メートル、横22メートルもの大キャンパスに見事に描き出された。
 何と壮大で圧倒的なんだろう。時空を超えて大きな感動を与える光の芸術に感慨深く向き合った。
 風により和火の後となったナイアガラ、洋火仕掛の奉納を終えると、最後に大松明が奉火され永かった一日が終わる。この時ばかりは、火の粉がモロにこちらに落ちてくることが予想されたので、慌てて機材を片づけて難を逃れた。

 今年も感動をありがとうございます。時を越え連綿と受け継がれる伝統花火に心からの敬意を表します。


 08年 篠田の花火写真集

源氏物語千年紀::紫式部の像
7号 青い鳥
長野県 伊那火工堀内煙火
先駆5号 7号椰子入菊先桃色白煌めきの華
秋田県 和火屋
先駆5号 7号黄色芯紫先緑点滅
新潟県 片貝煙火工業
7号 華桔梗芯キラキラ菊
秋田県 北日本花火興業
7号 ピンク芯菊先青銀乱
埼玉県 根岸火工
7号 八重芯錦冠菊銀乱
長野県 アルプス煙火
10号 四重芯菊華
長野県 伊那火工堀内煙火店
10号 四重芯菊先光露
長野県 伊那火工堀内煙火店
10号 八重芯引冠緑点滅
長野県 アルプス煙火
10号 黄色芯紫牡丹
東京都 丸玉屋小勝煙火店
10号 緑銀芯錦先青紅銀乱
長野県 伊那火工堀内煙火店
10号 四重芯引先紅光露
茨城県 野村花火工業

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