日記2006夏


おぢやまつり花火大会
2006年8月19日(土) 晴 19:45〜21:45
新潟県小千谷市 旭橋下流信濃川河川敷


 長野から新潟に入り、大きく蛇行する信濃川を遠望しながら車を走らせる。雄大な流れに沿うようにして走るうちに小千谷市に着いた。片道450キロはあろうか、小千谷への道程はとにかく遠かった。
 今回の旅の目的は、人生初となる新潟の花火を経験することである。金曜日から3日間に渡って開催される「おぢやまつり」の中日に開催される花火大会を観覧するため、遥々小千谷に訪れたのだ。
 小千谷と言えば、我々花火ファンなら誰でも知っている片貝まつりの地である。初めての小千谷なので、真っ先に片貝の地を訪れ、4尺玉に思いを馳せながら浅原神社にお参りをした。
 宿舎の前には「産業会館サンプラザ」と「錦鯉の里」が併設されているので、そちらで夜までの時間を過ごさせてもらった。世界一四尺玉花火の模型や小千谷ならではの特産品、お土産の数々をサンプラザで楽しみ、続いて泳ぐ宝石と称えられる美しい錦鯉をたっぷりと鑑賞させていただいた(本当に美しい錦鯉です!)。普段は入場料が要る錦鯉の里だが、本日は入場無料開放されているのが嬉しい。もう少し早く小千谷入りしていれば牛の角突き大会も観覧できたのに(こちらも本日は入場無料)とつい欲張ってしまう。いろいろ見所があって観光には事欠かない土地だ。
 こうして小千谷旅情を満喫するうちに時が過ぎて、花火の時間が迫ってきた。さて、信濃川河畔に向かうとしよう。

 花火は信濃川河川敷から観覧することになる。階段状に立派に整備された河川敷がそのまま観覧場所となっており、最上段付近は目線の高さもあって、花火観覧にはうってつけの環境となっている。お客さんの入りも実にゆったりとしたもので、16時前に場所取りを済ませていたが、開幕前になってもまだまだ場所が残っているのが何とも微笑ましい。暗くなってからぞろぞろとやってくるお客さんがけっこう居るのだが、空いている場所を適当に探してスムーズに座っていく。先日の諏訪湖の大混雑、殺伐とした場所取りが嘘のような、長閑な環境下での花火観覧に心が和んだ。いつでも手が届くような身近な存在の花火、市民花火大会って本来こんな感じなのかな。
 日が沈む頃に始まる万灯パレード。旭橋をゆったり練り歩くとりどりの万灯が信濃川の水面に映える様は何とも情緒的な眺めだった。19時45分開幕と随分待たされる花火大会だが、とりどりの万灯を眺めながら、ぼんやりと待つ。ビールを手に知らない土地のお祭りと花火にあれこれ思いをめぐらせながら待ってみるのも良いものだ。

信濃川河川敷の花火会場 18時40分撮影
実にゆったりとしています。
打上は対岸から

 スターマインで開幕を告げた。始まってみると打上の方も実にゆったりとしたものだった。ドーン、ドーンと打ち上がる単打ちと、たまに入るスターマインとの組合せ。「先掛4号・5号、10号十段打ちです。」などといった独特の打ち出しのアナウンスに導かれて舞い上がる大玉主体の花火、まるで奉納煙火のように一玉ずつ丁寧に打ち出されていった。
 プログラムは148番までの単打ちと、33組の番外で構成されている。番外は単打ちの合間に挟まる格好でプログラム紙に掲載されているが、順番によらず何時何分打上と決まっており、プログラムに掲載されている順番どおりには進行しない。それにしても目に付く10号玉。単打ちは大半が10号玉で構成され、番外に至っては多数の10号連打に10号同時打と最大20号、極めつけは尺玉100連発とまさしく大玉オンパレード状態。これに大玉入りと思われるベスビアス超特大スターマインといった出し物が何組か入るのだ。プログラムに掲載されている10号玉でも数えてみると250発程度は在る。尺がスタンダードの新潟ならではのスケールだろうか。私が普段観覧する東海、近畿では考えられない規模の花火大会である。
 写真の方もいつもとは勝手が違った。単打ちの王様である10号玉は、いつもなら一玉ずつ大切にカメラに収めるのだが、今夜は開幕して暫くで撮るのを止めた。そんなに手の込んだ花火は上がらないし、同じ花火が何度も繰り返される。そして何よりも玉数が多すぎてカメラに収めきれない。加えて残念ながら大気の状態が悪く、地表付近はゆるやかに流れる風が少し高くなると吹き返しの風にあって、尺の開花部はほぼ無風状態、たちまち煙に覆われてしまうのだ。写真的には物量のあるプログラムは全て台無しだった。撮影は番外の中の特別なプログラム一本に絞って、大半の時間は観るだけ、新潟ならではの花火を五感をときめかしながらじっくり味わうのだった。
 プログラムに掲載の数々の特選玉、いったいどんな花火が披露されるのかと思っていたところ、飛び出した花火はほぼ決まって冠菊であった。それが登場する毎に場内から自然と拍手が沸き上がる。花火大会を通じて金冠が本当に多かった。新潟では冠が受けるのだろうか、2尺も全て錦冠菊とくる。何ともいえない趣があるのだ。

番外 十号百連打
打ち止めの錦冠菊一斉

 待望の尺玉100連発。今宵唯一の八重芯で始まったそれは、種類も揃っていて緩急を効かした複数箇所からの打ち上げは観ていて爽快な眺めであった。一夏に二度も尺玉100連発が経験できるなんて、一生の思い出となるはずだったのに残念ながら二回ともコンディションに泣かされた。うっすらと煙がかかった状態で観る100連発、なんだか津市花火大会の時に似ているなぁ。
 どのような仕掛だろうかとワクワクしていたナイアガラ瀑布と遊鯉大仕掛。通称、「鯉の滝昇り」といわれる名物プログラムだ。こちらはナイアガラ瀑布の中に鯉の絵仕掛が動くように仕掛けられ、「鯉の滝昇り」が見事に表現されている。錦鯉の街、小千谷ならではの一度観たら忘れられないユニークな仕掛花火に場内は拍手喝采だった。
 震災からの復興を願う花火、克雪都市小千谷といった自然環境の厳しさを思わせるものもあった。地元企業はこぞって協賛され、市民はもちろん俳優さん提供のスターマインなど、たくさんの方々が花火大会を支えておられ胸を打たれた。郷土の誇り愛着のようなものが自然と感じられるのだった。そしてこの花火でみんなの心が一つになる。2時間に及ぶ花火大会のフィナーレを飾るのは、小千谷市民の寄付により打ち上げられる、小千谷市民総参加「超ワイドベスビアス大スターマイン」。650メートルに及ぶといわれる壮大なスターマインなのだ。
 Vトラ入り8基同発で華々しくスタートを切り、ダブルに展開してバシバシと打ち込んでいった。錦冠菊連打、連打、雷の金ぴかも加わって、これでもかーと続く錦尽くしのスターマイン。ズドーンと入った2尺玉2発同時打ちももちろん錦冠菊と、とどまるところを知らない絢爛豪華な大絵巻に圧倒された。2尺が上げられるやいなや、すかさず入った10基同発でグランドフィニッシュ。対岸いっぱいになって、金色の花火が拡がり、満場の喝采を受けるのだった。
 良い終わり方だ。全体的にまったりとした花火大会だったが、後半は見せ場の連続、超豪華な出し物がラストに入って、見事な終了感を演出してくれた。
 終了と同時に、観衆の皆さんがゴミ一つ残さず持ち帰るマナーの良さにも感心した。小千谷の花火には、都会の花火大会にない深く心を包んでくれるおおらかな優しさ、魅力のようなものを感じてならない。

番外 ナイアガラ大瀑布と遊鯉大仕掛
中央の緋鯉がナイアガラ滝の中を泳ぐように仕掛られています
終幕 超ワイドベスビアス大スターマイン
夜空にひらく躍進おぢやの華
10号 八重芯変化菊 20号玉 錦冠菊小割浮模様 ベスビアス大スターマイン

 小千谷の熱い夜はまだまだ続く。メインストリートではとりどりの万灯が通りいっぱいになって練り歩き、私も観衆に混じってやんやの声援を送りながら見守った。明るく、賑やかで街全体が祭の喧騒に酔いしれているようだった。エネルギッシュなお祭りは23時まで続くのだった。宿舎に戻って、永かった一日を振り返りながら飲む冷たいビールは、五臓六腑に染み込んでとても美味しい。いつも観覧即帰宅といった慌ただしい花火観覧を繰り返しているので、こうしてのんびりホテルに泊まって、じっくり旅情を味わってみるのも良いものだ。
 翌朝も見事な夏空だった。ホテルのバイキング朝食では、地元の食材がふんだんに使われた豪華なもので、朝からたらふく食した。今回宿泊したホテルは目の前に観光施設があり、花火会場にも万灯パレードのメイン通りにも近い観光の絶好の起点となる。まさしく小千谷旅情を満喫するにふさわしいホテルだ。
 心もお腹も充分満たされ、満足の気持ちのうちに帰路に就いた。途中、十日町市で立ち寄った縄文村のひまわり畑が見事だった。無限のように感じられる黄色い大輪、眺めているうちに錦尽くしだった昨夜の花火をつい思い出してしまうのだった。
 何とも言えない親しみが感じられる小千谷。新潟初花火が小千谷で良かった。いつまでも心に残る素敵な花火旅をありがとう。次回訪れる機会が有れば家族を連れて訪れ思い出を共有したい、そうしみじみ感じるのであった。

 2年越しでお誘いをいただき、一緒に同行させていただきました愛好家様に心から感謝を申し上げます。


「おぢやまつり」 立派な万灯が何台も引き回されます
引万灯 「火盗改方 長谷川平蔵」 引万灯 「連獅子」
「錦鯉の里」では美しい錦鯉をたっぷり鑑賞できます 帰路に立ち寄った「縄文村ひまわり畑」

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